2007 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー天体現象の観測による高次元宇宙モデルの検証
Project/Area Number |
07J07852
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仙洞田 雄一 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重力理論 / 宇宙論 / 宇宙物理学 / 素粒子論 |
Research Abstract |
超弦理論などに示唆される高次元宇宙モデルの検証に向けて、高次元の重力理論において顕著な効果を持つと期待される高階曲率項の存在が、宇宙モデルとしてのブレーンワールド解にどのように影響しうるかを調べた。 高階曲率項を含む重力の作用として、Ricciスカラー曲率の任意の関数を表現する"f(R)型作用"に着目した。f(R)型重力は、Einsteinの一般相対性理論に高階曲率項の補正を加える場合のもっとも単純な一般化である。 まず、この重力理論の下で余剰次元1の薄膜が従うべき重力の方程式、すなわち接合条件を導出した。これは、宇宙が5次元時空である場合に、通常の物質を束縛する3次元膜(ブレーン)の世界面が従うべき重力の方程式であり、系を記述する基礎方程式群の一つを構成する。導出にあたっては、計量以外にf(R)型重力理論に含まれる動的なスカラー自由度を尊重し、膜上の物質が計量場およびスカラー場と結合する効果を完全に取り込んだ定式化を行なった。 従前の類似の研究では、物質は計量場とのみ結合することが仮定されており、スカラー場との結合を正しく考慮した接合条件の導出はなかった。この点を一般的な手法で正しく定式化できたことは、それを満たすべき重力解としての高次元宇宙モデルが示すであろう特徴的な性質に近づくものである。 f(R)型重力についての方程式を導出したのち、さらにその一般化として、RicciテンソルとWeylテンソルについても任意の函数であるような作用を持つ重力理論の研究にも取り組んだ。これらすべてを包含する作用原理、すなわち作用の表面項を導出した。 方程式の導出と同時に、それに従うブレーンワールド解の構築にも取り組み、現実的でもっとも単純な状況の一つである、反de Sitter時空に宇宙論的な流体を束縛したブレーンが埋め込まれた解が存在するための条件を見出した。
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Research Products
(8 results)