2008 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー天体現象の観測による高次元宇宙モデルの検証
Project/Area Number |
07J07852
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
仙洞田 雄一 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 重力理論 / 宇宙論 / 宇宙物理学 / 素粒子論 |
Research Abstract |
超弦理論などに示唆される高次元宇宙モデルの検証に向け、高次元の重力理論に由来すると考えられる高次曲率作用の宇宙論的な働きについて調べた。 1.まず、作用がスカラー曲率の函数"f(R)"で表現されるf(R)重力理論に着目した。f(R)重力の作用は一般に共型変換によってEinstein重力とスカラー場が共存する形の作用に移ることができ、近年、そのスカラー場のポテンシャルエネルギーを用いて現在の宇宙の加速膨張を説明することが試みられている。しかし、太陽重力場を考察したときには観測・実験事実と矛盾することが多く、自然なfの函数形で二つの観測と同時に整合することは困難とされていた。それに対し、スカラー自由度と物質場の一般的な結合を許す広いクラスのf(R)重力理論を提案し、その枠組みでは、単純な函数形であっても加速膨張と太陽重力場の両方を導けることを示した。 2.作用がRiemannテンソルの函数で表現される"f(Riemann)"重力理論の性質を調べた。超弦理論からそのような一般的な重力が導かれると予想されるが、これまでいくつか特定の函数形のf以外で宇宙論が考察されたことがなく、方法論の整備が急務となっている。系を動力学的に記述するために正準形式へと変換し、計量場とそれ以外に生じる独立な自由度が従うべき正準方程式を得た。またそれを応用し、Weylテンソルの非線型項が作用に含まれる場合に発生し得る宇宙の不安定性を考察した。 以上の成果は、起源としての高次元重力理論を考察する際の手掛かりとなる点で重要である。
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Research Products
(8 results)