2007 Fiscal Year Annual Research Report
自然の循環系に影響を受けて醸成された産業文化から得る地域社会のサステナビリティ
Project/Area Number |
07J07923
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
白井 裕子 Waseda University, 理工学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 河川流域 / 森林資源 / 木材地場産業 / 木造建築 / 伝統構法 / オーストリア / 公共財 / 社会制度 |
Research Abstract |
河川流域でみた森林資源と木材地場産業の関係(産業の衰退や自然災害の発生を含む)を岐阜県五流域で整理し、学会で発表した。流域毎に植生に特徴があり、その資源を元にした木材地場産業にも河川流域により特長があることを把握することができた。「流域圏」は国の全総に取り上げられた事もあり、環境と社会を考える上で重視されている。しかし本研究のように、流域から資源とその地場産業を捉えた研究はなく、意義ある研究成果を発表することができた。また森林資源の需要側である木造住宅産業の問題点について調査を行った。(社)日本建築大工技能士会の協力を得て、木材使用に関する課題、木造建築を継承していく上での制度上の問題点を調査した。木材地場産業の解体、木造建築の構法、職能の継承が大きな問題となっている中で、建築大工技能士が継承している木造建築の基本など、文章化することが難しかったものを整理することができた。非常に高い職能を持つ100人あまりの建築大工技能士からその問題点を抽出した調査(インタビュー・アンケート)はなく、重要な研究成果を得ることができた。現在、論文審査中である。 オーストリア現地において、研究機関であるホルツフォアシュングと木材関連企業が共同して設立したプロフォルツ、EUとオーストリア政府を仲介しているアグラマークトオーストリア、シュタイヤーマルク州政府、山林所有者の代表者であるエルケーを訪問し、研究者、専門の担当者を対象に調査を行った。また現地調査、資料収集も行った。オーストリアは、産業を補助制度で誘導している点など、我が国と類似点が多く、参考すべき国と注目されている。しかし調査研究はほとんどされていない。そこで本研究において、公共財としての森林資源を産業が保全していくための社会制度、慣習、補助制度などを詳しく調査し、貴重な成果を得ることができた。今後、学会に発表をしていく。
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Research Products
(4 results)