2007 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンN端オクタリピートの多重体化による正常型・感染型相互作用の分子機構
Project/Area Number |
07J07968
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀内 雄史 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | プリオンタンパク質 / オクタペプチドリピート / 疎水性相互作用 / 水晶微量天秤法 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
これまでプリオンN端オクタリピート構造が多重体化することをMALDI-TOF質量分析によって解析した。まず、オクタリピート構造の合成ペプチドの測定により、2〜5量体の多重体を観測した。また、これらペプチドのTrpもしくはHisをAlaに置換すると、多重体が観測されない、あるいは少なくなった。すなわち、オクタリピート構造は多重体化し、その原動力としてリピート中のHis-イミダゾールとTrp-インドール間のπ-π分子間相互作用であることが判明した。 今回、オクタリピート領域のオクタペプチドが1〜2個欠失および1〜9個挿入したホモログタンパク質のプラスミドを作製することに成功した。また、リピート中のTrpをAlaに変異した変異体プラスミドの作製にも成功し、リピート数が2〜7のTrp→Ala変異体の発現・精製をした。リピートタンパク質の変異体を安定に作製できる手法を確立できたことは、今後のオクタリピート研究に大きな発展が期待できる。 調製タンパク質を用いてMALDI-TOF質量分析による多重体化の難易について検証する予定であったが、一部で実施できたものの十分なタンパク質濃度を得ることが出来ないものもあった。一方、極微量にかつ水溶液状態で速度論的な分子間相互作用解析が可能な水晶微量天秤法(QCM)による測定を行った。プリオンN端とリピート中のTrpがAlaに変異した変異体を中心とした測定・解析を行った結果、プリオンN端同士が相互作用すること、さらに、リピート中のTrpが欠損すると、この相互作用が遅くなることが判明した。 今回、ペプチドだけでなく発現タンパク質でリピート領域の相互作用がMALDI-TOF質量分析とQCMで明らかになった。今後こうしたオクタリピート構造多重体化の相互作用解析研究を通じて新しい相互作用解析手法が確立されることが期待される。
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Research Products
(3 results)