2008 Fiscal Year Annual Research Report
プリオンN端オクタリピートの多重体化による正常型・感染型相互作用の分子機構
Project/Area Number |
07J07968
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀内 雄史 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 特別研究員DC2
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Keywords | プリオンタンパク質 / オクタペプチドリピート / 疎水性相互作用 / 水晶微量天秤法 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
これまでプリオンN端オクタリピート構造が多重体化することをMALD1-TOF質量分析によって解析し、その相互作用の原動力がリピート中のHis-イミダゾールとTrp-インドール間のπ-π分子間相互作用であることを示した。昨年度、発現プリオンN端タンパク質とそのTrp→Ala変異体を調製し、この相互作用について水晶微量天秤法(QCM)による検証を実施した。その結果、プリオンN端同士が相互作用すること、さらに、リピート中のTrpが欠損すると、この相互作用が遅くなることが判明した。 今回、このプリオン分子同士の相互作用の解離定数を求めることに成功した。また、このプリオン分子間相互作用の原動力がオクタペプチドリピート中のTrp、Hisによるπ-π相互作用であることをQCMによって実証することにも成功した。QCM測定のため、オクタペプチドリピートの合成ペプチド(OP4)やハムスタープリオンN端ドメイン23-100位(HaPrP-N)を専用センサーチップに固定化し、これらチップにOP4やHaPrP-Nをアナライトした。その結果、プリオンのペプチドやタンパク質間で明瞭な相互作用が観測された。この相互作用の解離定数を求めたところ、ペプチド-ペプチド間で3.8μM、タンパク質-ペプチド間で7.5μM、タンパク質-タンパク質間で10μMとほぼ同程度あった。これらμMオーダーの解離定数はin vivoでも起こりうる可能性が高く、プリオン分子間の相互作用はin vivoにおいても観測されることが期待される。一方、OP4のTrpもしくはHisのいずれか一方を欠いた変異体をアナライトするとこの相互作用は全く観測されなかった。すなわち、オクタペプチドリピート間の相互作用にはTrp・His両芳香族アミノ酸残基が必須であり、これら相互作用はTrp・Hisπ-π相互作用であることが強く示唆された。以上の結果はこれまで得られていた質量分析による分子間相互作用解析の結果と一致しており、質量分析、QCMという2つの分析手法でオクタペプチドリピート分子間相互作用を証明することに成功した。
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Research Products
(6 results)