2007 Fiscal Year Annual Research Report
フランス革命期のバンジャマン・コンスタンの政治理論
Project/Area Number |
07J07989
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
古城 毅 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 政治思想 / 自由主義 / 共和政 / フランス / 宗教 / フランス革命 / 憲法 / 共和主義 |
Research Abstract |
19世紀初頭、フランス革命による内戦を克服するためにナポレオンがすすめた強権政治に対して、当時の代表的政治家バンジャマン・コンスタンがどのように対抗したかを検討した。まず、軍事法廷の活用、陪審員制・請願権の制限といったナポレオン政権の政策に対するコンスタンの批判を検討した。次に、共和政から帝政への移行に対する彼の批判を検討した。いずれの作業も、コンスタンがナポレオン政権期に執筆した草稿類の分析および同時代の資料の検討を必要とするが、日本では入手不可能であった。それゆえ、フランスおよびスイスに渡航し、現地の図書館で文献の収集・読解に研究時間の大半を費やした。またスイスでは、現地の多くのコンスタン研究者と交流し、助言を得た(他方、予定していたイタリアでの文献収集は、時間の不足ゆえに断念した)。以上の作業は彼の政治論に焦点を当てたものであるが、そこから、彼の政治論と宗教論の統一的理解、という今後のコンスタン研究の中心課題について見通しを得た。具体的には、自分がこれまで検討してきた、人民主権論と「権力の人格化」(端的にはナポレオン)の関係についての問題が、彼の宗教論における人格神(端的にはキリスト教)に対する両義的な態度とリンクしているということである。その結果、当初の計画を少し修正し、宗教論と政治論の関係について検討した。先行研究において十分に検討されてこなかったこの問題を掘り下げることにより、コンスタンのリベラリズムをより包括的に検討することが可能になる。
|