2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
戸田 幸伸 The University of Tokyo, 数物連携宇宙研究機構, 特任助教
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Keywords | 連接層の導来圏 / 安定性条件 / モジュライ空間 |
Research Abstract |
今年度は連接層の導釆圏上の安定性条件から定まる(半)安定対象のモジュライ問題、及びそれらの数え上げ不変量に関する研究を行った。導来圏の安定性条件とはBridgeland氏によって導入された概念であり、超弦理論におけるBPSブレインを数学的に定式化していると考えられている。また代数曲線上の導来圏上の安定性条件は、従来までの安定層の概念の拡張にもなっており、数学的にも興味深い対象である。安定層に関しては、それらのモジュライ空間はMumfordの幾何学的不変式論によって構成することが可能であったが、導来圏の安定対象達に関してはモジュライの存在や構成については研究されてこなかった。そこで私は安定性条件が具体的に研究されている条件下でモジュライ空間の存在にういて考察し、これらが有限型のアルティンスタックになることを証明した。具体的にはK3曲面の導来圏や局所Calabi-Yau 3-foldの導来圏上の安定対象達についてこの結果を証明した。更にこの結果を用いて、安定対象達の数え上げ不変量を定義し、それらが安定性条件を変えたときにどの様に振舞うか考察した。この問題はアーベル圏の安定性条件の場合には既にJoyce氏によって研究されており、特にK3曲面の導来圏に関してはJoyce氏の論文中にこの問題に関する予想が述べられている。私は前述したモジュライスタックを用いてJoyce氏の予想を解決した。更に局所Calabi-Yau 3-foldの導来圏についてもこの問題を考察し、得られた結果を論文「Moduli stacks and invariants of semistable objects on K3 surfaces」及び「Birational Calabi-Yau 3-folds and BPS-state counting」に纏めた。今後は射影的なCalabi-Yau 3-foldに対しても上記の問題を考察する枠組みを構築していくことが課題である。
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Research Products
(3 results)