2009 Fiscal Year Annual Research Report
PGR5依存の光化学系Iサイクリック電子伝達経路の解明
Project/Area Number |
07J08015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桶川 友季 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光合成 / 光化学系Iサイクリック電子伝達 / PGR5 / 葉緑体分化 / PTOX |
Research Abstract |
光化学系Iサイクリック電子伝達はリニア電子伝達と同様、光合成と葉緑体の光阻害回避の両方に必須である。これまでにモデル植物であるシロイヌナズナを使って変異株の解析が行われてきた。この重要性から考えて、サイクリック電子伝達の機能はイネでも当然保存されていると考えられる。本年度、私はイネにおけるサイクリック電子伝達の生報機能を解明することを目的に実験を進めた。サイクリック電子伝達に必須なタンパク質をノックダウンさせた形質転換植物ではサイクリック電子伝達活性が減少していた。それに伴い、光合成電子伝達速度も減少していた。これはシロイヌナズナの表現型と一致する。以上のことからイネにおいてもサイクリック電子伝達は光合成と光阻害の回避に必須であるということが証明された。 またもう一つの研究として葉緑体分化と光合成に対するサイクリック電子伝達と葉緑体のプラスチドターミナルオキシダーゼであるPTOXの相互作用について遺伝学的に証明することを目的とし実験を行った。サイクリック電子伝達とPTOXの生理学的な関係を調べるために、両方の機能を欠損する突然変異株の解析を行ったところ、PSIサイクリック電子伝達の減少はPTOXを欠損するシロイヌナズナの突然変異株、immutansにおける葉の斑入りを抑制した。対照的にPTOXの欠損はcrr2pgr5における成長阻害の表現型を緩和した。crr2 immutans spgr5ではストロマの過還元と電子伝達の阻害が部分的に軽減されていた。本研究において様々な変異株のバックグラウンドを使うことによってオルタナティブな電子伝達の機能が初めて明らかとなったと言える。以上の結果から研究最終年度の目的を達成する結果が得られたと言える。本研究の研究成果については11月の関西光合成研究会および、3月の日本植物生理学会において口頭発表を行った。
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Research Products
(2 results)