2008 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内ES細胞分化誘導系を用いて同定した新規リン酸化酵素遺伝子の機能解析
Project/Area Number |
07J08069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木下 将樹 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ES細胞 / リン酸化酵素 / Vlk / ゴルジ体 / 膜輸送 |
Research Abstract |
ノックアウトマウスの表現型としては口蓋裂および肺の低形成が明らかとなっていた。当期ではそれに加え、新たな表現型として軟骨細胞の成熟遅延を発見した。正常個体では胎生14日目には前肢の上腕骨において軟骨細胞の肥大化が始まることが確認できるが、同腹のノックアウト個体では肥大化した軟骨細胞の存在は認められない。しかし、ノックアウト個体においても胎生16日目には軟骨細胞の肥大化が始まることを明らかとした。同定した分子はその配列解析の結果、脊椎動物間にしか存在せず、またその酵素ドメインは現在既知で解析が行われているどの酵素ドメインとも相同性を持だない分子であることが明らかとなった。そこで我々はこの分子をVlk(Vertebrate lonesome kinase)と命名した。 当初は結合タンパク質を同定し、そこからVlkの機能にを明らかにしようと試みたが、同定した分子からは解析が進まなかった。そこで、ノックアウトマウ不の表現型と同様の表現型をもたらす遺伝子変異に着目して調べるとFGF18,Aggrecanの2つが表現型を同様に起こすことが報告されていた。Vlkはゴルジ装置に局在することより、この分子の機能として、細胞外に分泌されるタンパク質の輸送経路に何らかの関わりがあるのではないかとの仮説を立てた。この仮説を検証するために水疱性口内炎ウイルスのエンペロープ糖タンパクの温度感受性変異体であるts045にGFPを付加したVSVG-GFPを用いて小胞輸送の解析を行ったところ、NIH3T3株においてVSVG-GFPとVlkを同時に発現させるとVSVG-GFPの輸送がゴルジ装置内で異常になりゴルジ装置に留まることが明らかとなった。 この研究はタンパク質の分泌が発生過程において動的に制御されており、組織形成における細胞外環境の構築に必須であるということを明らかにしたという点で重要な研究である。
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Research Products
(1 results)