2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08086
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
土屋 聡 Tokyo Gakugei University, 教育学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 中国古典文学 / 六朝時代 / 文人 / 書誌学 / 国際情報交換 / 中国 |
Research Abstract |
報告者は、平成19年度研究実施計画に基づき、以下のような研究を行った。 1、『鮑氏集』の調査と中世広陵遺址の沿革調査 上海図書館にて、同館所蔵の『鮑氏集』十巻(以下、上図本)を筆写した。同本は、毛?(1640〜1713)が宋本『鮑氏集』を用いて校勘を施したものであって、明版ではあるが、宋本の面貌を残す貴重な版本である。従来、毛?の校本としては、『四部叢刊』所収『飽氏集』十巻(以下、『四部叢刊』本)が知られている。巻数や各作品の配列から見て、上図本と『四部叢刊』本は比較的近い関係にあると思われるが、両本は全くの同系統にあるわけではない。上図本の底本について調査したところ、岡村繁「『六朝詩集』とそれに収められた『鮑氏集』について」(『東北大学教養部紀要』第1号、人文科学・外国文学篇、1965年)において指摘された『六朝詩集』本に特徴的に見られる文字の異同55箇所が、全て上図本に合致することが判った。現在、宋版『鮑氏集』が発見されていない現状を考えると、上図本の価値は極めて高く、報告者が今後の研究を進める上で必須の基礎的文献資料となるものである。また、鮑照の文学活動の背景を探るために、揚州博物館及び漢広陵王墓博物館(江蘇省揚州市)、南京博物院(江蘇省南京市)にて所蔵出土品を調査し、『南京博物院集刊』第3巻(1981年、南京博物院)所収の発掘調査報告を元に広陵遺趾の沿革を整理した。 2、学位請求論文の提出 報告者は、これまでに発表してきた研究論文に加筆修正を行い、学位請求論文『六朝寒門文人鮑照の研究』として九州大学に提出した。論文の執筆に当たっては、上記資料を充分に活用することに努めた。同論文の提出に基づき、平成20年1月15日付けで学位〔博士(文学)(文博甲第118号)〕を取得した。報告者は、この成果を踏まえ、今後の研究計画を遂行する。
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Research Products
(2 results)