2007 Fiscal Year Annual Research Report
パクス・ブリタニカにおける情報ネットワークの形成-ロイター社を中心に-
Project/Area Number |
07J08096
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松波 京子 Nagoya University, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電信 / パクス・ブリタニカ / 情報ネットワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、パクス・ブリタニカにおけるイギリス帝国を歴史上最初の情報社会と位置づけ、帝国における情報ネットワーク形成について社会史思想史的観点からの解明である。このため平成19年度の研究計画としては、まず同時代における電信ネットワークの形成過程を明らかにするため、その構築に影響を与えた帝国政府及び金融界や市民の意志について、イギリス議会資料及び新聞投書等から明らかにすることであった。この点に関しては、2007年7月にイギリスへ赴き、電信の国有化をめぐる言説史料(パンフレット及び著書)の調査を行った。特に19世紀イギリス国内電信国有化について重要な研究を行ったJeffrey L.Kieve及びCharles Richard Perryが参照していない史料が入手できたので、これについては現在作成中の論文にて言及する予定である。 次に、パクス・ブリタニカにおける情報ネットワーク形成過程において、イギリス本国内の市民に電信システムを開放し、今日の情報社会の原型である電気的情報ネットワックを構築した契機として、イギリス国内電信国有化法がどのような経緯で可決成立したのかを、修士論文を土台として検討し直した。当該法案はイギリス初の民間企業の強制買収による国有化法案であるが、その思想的背景として支配者層の自由主義とミドルクラスの社会改良主義が密接に絡んで成立した法案であることが、関連議会史料等から推察された。この点についても、現在作成中の論文にて言及する予定である。
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