2009 Fiscal Year Annual Research Report
14-3-3タンパク質に対するフォワード/ リバース・ケモゲノミクス
Project/Area Number |
07J08110
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 崇嗣 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | フシコクシン / コチレニン / 14-3-3タンパク質 / シグナル伝達 / ジテルペン配糖体 / 構造活性相関 |
Research Abstract |
フシコクシン型ジテルペン配糖体であるコチレニン(CN)は、インターフェロンα(IFNα)との併用投与によって、TRAIL-DR5経路の活性化を促し、がん細胞選択的にアポトーシスを誘起することができる。そのため副作用を抑えた新規がん化学療法として注目を集めたが、生産菌の死滅によって入手困難な状況下にあることから、CNの代替化合物の創製が急務となっている。そこで我々は入手容易かつCNと構造の酷似したフシコクシン(FC)に着目し、CN様の抗がん活性を有するFC誘導体を見出すべく研究を行なってきた。一昨年度中には、TRAIL-DR5経路を活性化する新規FC誘導体の合成に成功しており、今年度はより詳細な作用機序の解明を念頭に、14-3-3タンパク質とDR5の過剰発現、およびアポトーシス誘導との相関を解析することとした。ヒト細胞中において、14-3-3タンパク質は互いに相同性の高い7つのアイソフォームから成るファミリーを形成している。そこで、肺がん細胞A549に対してRNAiの手法によるアイソフォーム選択的な遺伝子発現抑制下、CN+IFNα投与の感受性を評価したところ、14-3-3ζが抑制された細胞においては、有意にアポトーシス誘導やDR5の過剰発現が阻害されていることが明らかとなった。CN+IFNαの抗がん作用において14-3-3ζが重要な役割を果たしていることが明らかとなった。14-3-3ζと発がんとの関わりは多数報告例があるものの、14-3-3ζの綱がんに対する報告は本研究が初めてである。また、併用投与によるアポトーシス誘導時、細胞生存シグナルを活性化するAktの活性も抑制されることも見出すことができ、より効率的に細胞増殖を阻害していることを明らかにすることができた。
|
Research Products
(5 results)