2007 Fiscal Year Annual Research Report
血液試料の統合的分析を目指したナノ転写チップの開発
Project/Area Number |
07J08125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末吉 健志 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | マイクロチップ分析 / 血液分析 / マイクロチップ電気泳動 / オンライン試料濃縮 / トランジェントトラッピング / ナノ転写チップ / フローサイトメトリー / ミセル動電クロマトグラフィー |
Research Abstract |
「血液試料の統合的分析を目指したナノ転写チップの開発」は、大きく分けて固体成分である血球の分離分析部分とそれ以外の分析を行う電気泳動分析部分によって構成されている。そのため、本年度は各部分ごとの構築を目指して、まず基本的な実験および考察を行った。血球分析部分では、フローサイトメトリーの応用による分析および検出のためのデバイスを作製した。モデル試料とし粒径の異なる2種類のビーズを蛍光誘導体化し、作製したデバイスに流したところ、5,10マイクロメートルのビーズを分離することができた。さらに両チャネルの流量を最適化することで、比較的サイズの大きな白血球を取り除きつつ、赤血球のフローサイトメトリーに基づく分析が可能となると考えられる。 一方、溶液成分(血中タンパク質およびアミノ酸類)の電気泳動分析について、現状のマイクロチップ電気泳動分析では高速な分離分析が可能である反面、検出感度が低いという欠点も存在する。そのため、本研究ではより短い分離流路でより高速かつ高感度に分析を行うために、新規オンライン試料濃縮法および分離法としてトランジェントートラッピング法(tr-trapping)を開発した。トラップ機構による高効率な試料濃縮とリリース機構による迅速な分離を可能とするtr-trappingのマイクロチップ電気泳動法への適用により、一般的な挟み込み試料導入法によるミセル動電クロマトグラフィー(PI-MCMEKC)と比較して最大で400倍の高感度化、分離度の向上および分析時間の短縮を達成し、論文として報告した。論文中ではモデル試料として使用したスルホローダミンB(SRB)およびスルホローダミン101(SR101)を用いたが、すでに蛍光誘導体化アミノ酸についてもtr-trappingが有効であることを確認しており、血液中に含まれる低分子成分の高速かつ高感度な分析への応用が期待される。
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