2008 Fiscal Year Annual Research Report
血液試料の統合的分析を目指したナノ転写チップの開発
Project/Area Number |
07J08125
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
末吉 健志 Kyoto University, 工学研究科, 日本学術振興会特別研究員PD
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Keywords | マイクロチップ分析 / 血液分析 / マイクロチップ電気泳動 / オンライン試料濃縮 / トランジェント-トラッピング / ナノ転写チップ / アミノ酸分析 / ステロイド分析 |
Research Abstract |
血液中の微量成分を分析するためには、nMレベルの高感度分析が必要となる。これを実現するために、昨年度の研究で新規に開発したオンライン試料濃縮法である、トランジェントートラッピング法を生体成分分析に適用した。分析対象としては、ごく微量でも人体に多大な影響を与えるアンドロステロン・プロゲステロンなどのステロイド類や、健康指標として期待されているフェニルアラニン・ロイシンなどのアミノ酸類を選択した。まず、マイクロチップ上で分析を行う前に、キャピラリー電気泳動にて基礎的性能評価を行ったところ、疎水性の高いステロイド類についてはそのままで、アミノ酸類については疎水性の蛍光試薬を用いた誘導体化により、既存の分析法と比較して短時間で高感度かつ高分離能で分析することが可能になった。このとき、わずか5pMの誘導体化アミノ酸を検出可能であったことから、血液中の微量のアミノ酸については、十分に分析可能であると考えられる。さらに、これをマイクロチップ電気泳動に適用し、150倍の高感度化とベースライン分離をわずか30秒で達成した。さらに、血液中のタンパク質等の壁面への吸着の影響を防ぐために、キャピラリー内壁をpoly(vinylpyrrolidone)を用いてコーティングし、電気浸透流が発生しない条件下においてもトランジェントートラッピングが可能であることも確認できた。以上の結果から、昨年開発した血球分離デバイスと組み合わせることで血液の統合的分析が可能となると考えられる。
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