2007 Fiscal Year Annual Research Report
社会的適応における「メタ・ソーシャルスキル」の役割-スキルを「操る」スキル-
Project/Area Number |
07J08128
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石井 佑可子 Kyoto University, 教育学研究科, 学振特別研究員DC2
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Keywords | 社会的スキル / ネガティブコミュニケーション / 「メタ・ソーシャルスキル」 / 対人関係状況のメタ認知 / 社会的適応 / スキル獲得過程 / 青年期 / 非行少年 |
Research Abstract |
本年度は社会的スキルの効果を補い、強化する概念として提案している「メタ・ソーシャルスキル」の効果や獲得について、具体的な適応への役割への考察を、特に発達面や介入面に重点をおいて進めた。具体的には、(1)非行少年への調査(2)高校生への調査(3)女子中学生への介入を対象に検討を行った。 (1)非行少年については、「メタ・ソーシャルスキル」尺度による測定や少年達の語りの収集を実施した。対照群と比較すると、非行少年はこれまでの社会的スキル研究で扱われてきたポジティブなコミュニケーションについては特に問題が無いにも関わらず、ネガティブコミュニケーションやメタ認知に有意な低さが見られ、特に初対面などのあまりかかわりの無い相手に対する過剰な関与を抑制することが難しいということが明らかになっている。 (2)青年期中期にあたる高校生について「メタ・ソーシャルスキル」尺度およびその他の社会的適応尺度による質問し調査を実施した。既に収集されている大学生・成人データとの横断的比較により、青年期の発達段階における「メタ・ソーシャルスキル」の変遷が示唆されている。 (3)女子中学生については、私立女子中学校で行われるコミュニケーションワークに参加・協力し観察を行っている。長期的なデータ収集を目指すため現在調査は終了していないが、一斉参加による参加者間のコミュニケーションレベルのばらつき、多様な要因が絡んだ日常対人関係状況に対応した「メタ・ソーシャルスキル」の獲得強化に適したプログラムの考案が現在課題となっている。この点に対処するため、条件の統制を敢して緩めた「レクリエーション実施を通したトレーニング」の提案に向け、考察を行っている。また今後中学生・高校生を対集とした調査(「メタ・ソーシャルスキル」と自尊感情や情動経験などの適応指標、また教師による他者評定との関連)を行う予定である。
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Research Products
(7 results)