2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上島 考太 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暗黒物質探索 / 液体キセノン |
Research Abstract |
大型液体キセノン検出器の基礎開発、及びそれを用いた宇宙暗黒物質の直接探索を行う。暗黒物質とキセノンの原子核反跳によるシンチレーション光は微弱であるため低エネルギー閾値での探索が必要である。これまでの研究から800本の光電子増倍管(PMT)を直接液体キセノンに浸けることにより1keVあたり4光電子を得ることができ、エネルギー閾値5keVでの探索が可能である。しかし800本のPMTを直接液体キセノンに浸すことによりPMTが主なバックグラウンド源となる。PMTの低バックグラウンド化は非常に重要で、私は低バックグラウンドPMTの開発を行った。この低バックグラウンド化されたPMTは世界に類はなく、またキセノンの発光波長である175nmの光を直接検出できる。他の希ガス元素を用いた暗黒物質探索実験に使用されているPMTは波長変換材を用いて希ガス元素の発光をPMTの感度のある可視光に変換しなければならない。また低バックグラウンド化がなされていないため暗黒物質と見分けがつかない中性子バックグラウンドの低減が困難である。本年度は試作したPMT2本を用いて液体キセノン中でも長時間正常に動作するか試験を行った。この結果長時間安定し、1keVあたり17光電子の検出に成功し、122keVのγ線でエネルギー分解能が2.4%と検出された光電子の統計に頭打ちされる非常によいエネルギー分解能を達成した。液体キセノン800kgを用いた大型液体キセノン検出器の作成を開始した。将来暗黒物質のシグナルを捉えたときに暗黒物質であると証拠付けるのに必要なアイデアの一つにターゲット原子核を変えて、暗黒物質との散乱断面積の違いを利用する方法がある。キセノンと同じ希ガス元素であるアルゴンを用いると同じ検出器を用いて測定が可能である。私は世界一深い場所にありBGの少ない地下実験施設SNOLAB(Canada)に三ヶ月滞在し、液体アルゴンを用いた暗黒物質探索実験に参加し、必要な技術の研究を行った。
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Research Products
(1 results)