2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
上島 考太 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 暗黒物質探索 / 液体キセノン |
Research Abstract |
本年度前半は昨年に引き続き低バックグラウンドPMTの開発を行ってきた。-100℃液体キセノン中でPMTが正常に動作することを確認したが、PMTに使われている部材が液体キセノンに溶け出し、液体キセノンのシンチレーション光が減少するという問題がおこった。PMTの回路に使われている半田が液体キセノンに溶け出していることを突き止め、洗浄方法等を確立し、642本のPMTを使用してもキセノンの発光量に与える影響は10%以下であることを示した。他にも本番の検出器に使われる部材すべてを液体キセノン中で試験を行い、発光量に与える影響が10%以下であることを示した。またキセノンには極わずかにクリプトンが含まれており、85Krは長寿命の放射性同位体で、ベータ崩壊し暗黒物質のバックグラウンドとなる。そのためキセノンからクリプトンを除去してやる必要があり、昨年度から蒸留塔の開発を行ってきた。開発した蒸留塔が5kg/hourの処理速度で5桁以上クリプトン除去能力があることを確認した。本年度後半からはキセノンの波形測定を行った。暗黒物質探索において、主なバックグラウンドとなるのはU,Thなどの放射性不純物が崩壊した時にだす、ガンマ線やベータ線である。ガンマ線やベータ線はキセノンの電子と反応し、電子反跳のイベントとして観測される。それに対して暗黒物質とキセノンとの反応は原子核反跳のイベントとして観測される。この反応の違いはキセノンのシンチレーション光の波形に現れる。波形の違いを利用してどの程度バックグラウンドを落とせるか研究を行った。 暗黒物質と同じ原子核反跳のイベントを中性子線源Cf252を液体キセノンに照射した。電子反跳のイベントはガンマ線源Cs137を液体キセノンに照射し、シンチレーション波形の弁別を行った。キセノンの発光の時定数は45nsecと非常に早く波形弁別が困難とされていたが、10keV以下の低いエネルギーでも波形弁別が行えることを示した。
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Research Products
(3 results)