2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08212
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小黒 英俊 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 実用超伝導線材 / 3次元歪 / 超伝導物性 / 偏差歪 / 静水圧歪 |
Research Abstract |
実験から実用Nb_3Sn超伝導線材の3次元歪と超伝導特性の関係を調べた.計画通り,低温強磁場において引張り歪を与える装置を完成させ,これを用いて4.2K(液体ヘリウム温度)から室温までの温度領域で,27Tまでの磁場中で,Nb_3Sn超伝導線材の超伝導特性に与える歪効果を調べた.このとき,3次元歪を調べるために線材の軸,横方向の歪をひずみゲージを用いて同時に測定し,これまでよく分かっていなかった横方向歪に関する知見を得ることができた. この実験結果を解析することで,Nb_3Sn線材の3次元歪と超伝導特性との関係を考察した.解析は,偏差歪モデルという,物体の形状変化の量を表す「偏差歪」を用いた方法で行った.このとき,偏差歪だけでは線材の超伝導特性を表すには不十分であることが分かった.この解析の中で,足りないのは体積変化を表す「静水圧歪」である可能性があり,実際に静水圧歪を考えることで定性的には説明ができることが分かった. この研究から応用へつながる実験として,事前曲げ効果(線材に元々加わっている歪を緩和させその超伝導特性を向上させる効果)を実証するための,超伝導コイルの通電特性評価も行った.このコイルは磁場を発生させることのできる,実際使う形に近いテストコイルである.実験の結果,特に高磁場領域においてこの通電特性が事前曲げ処理で向上することが分かった.この結果は,事前曲げ効果という簡単な処理で大幅に線材の超伝導特性を向上させる効果を,実際のマグネット製作に利用できることを示す重要な結果となった.
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Research Products
(4 results)