2007 Fiscal Year Annual Research Report
金属カルボキシラートの活性化を含む触媒的二酸化炭素C-C結合生成反応
Project/Area Number |
07J08216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諏訪 勝紀 Tohoku University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 二酸化炭素 / 選移金属 / 触媒 / ビスπ-アリルパラジウム / 常圧 / トリブチルホスフィン / カルボキシル化 / 3-ブテン酸アリルエステル |
Research Abstract |
化石燃料の燃焼に伴って副生する二酸化炭素を利用することは省資源の点で意義がある.しかし,遷移金属化合物による二酸化炭素の触媒的C-C結合生成反応の例は多くなく,しばしば基質の制約がある.従って広範な基質に適用できる新しい触媒系の開発が望まれる.私は金属化合物と二酸化炭素から生じた金属カルボキシラートを効率的に不飽和結合で捕捉し,金属錯体の脱離と共に再生するシステムの工夫を考えた.1,3-ブタジエンと二酸化炭素のパラジウム触媒テロメル化反応が知られている.ここではビスπ-アリルパラジウム種を経由するとされており,私はビスπ-アリルパラジウムが二酸化炭素との高い反応性を有し,新しい触媒反応開発の足がかりになると考えた. ビスπ-アリルパラジウムの化学量論的カルボキシル化反応を検討した.二酸化炭素常圧条件下でビスπ-アリルパラジウムにトリブチルホスフィンをゆっくりと添加するとカルボキシル化が収率よく進行し,3-ブテン酸を与えた.(σ-アリル,π-アリル)パラジウムホスフィン錯体の副生を1H-NMRにより確認し,この錯体からカルボキシル化が進行しないことを示した.この反応でホスフィンの添加は必須である.トリブチルホスフィンとビスπ-アリルパラジウムが反応して生成するビスπ-アリルパラジウムホスフィン錯体が二酸化炭素と反応すると考えられた。 反応系中でビスπ-アリルパラジウムを発生させれば,二酸化炭素常圧条件でカルボキシル化が進行すると考え,アリルトリブチルスズと塩化アリルのパラジウム触媒カルボキシル化反応に展開した.二酸化炭素高圧条件下で触媒的に進行することは知られていたが,常圧条件下でもカルボキシル化が触媒回転率1.8で進行し,3-ブテン酸アリルエステルを与えた.アリルトリブチルスズ,塩化アリルとパラジウム触媒からビスπ-アリルパラジウムが生成することを1H-NMRにより確認した.
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Research Products
(3 results)