2008 Fiscal Year Annual Research Report
ハイプリッド遺伝的アルゴリズムを用いた波形分離による多変量ラマンイメージング
Project/Area Number |
07J08271
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
新澤 英之 The Institute of Physical and Chemical Research, 佐藤光バイオプシー開発研究ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | ラマン分光法 / 近赤外分光法 / ケモメトリックス / Self-Modeling Curve Resolution |
Research Abstract |
ラマンイメージングは試料を数マイクロレベルの画素に分割し、各画素においてラマンスペクトルを測定する方法である。対象の分子構造に関する情報に加えて、空間的な位置関係、即ち、物質の分布に関する情報も得られる。このような情報が非破壊的に得られることから、製剤の各プロセスなどへの応用が期待されている。 本研究では製剤作成時の攪拌工程によって引き起こされる物理・化学的な変化(メカノケミカル効果)に着目し、この過程をラマンイメージングにより解析することにより、メカノケミカル効果の分子レベルでのメカニズムの理解と、製剤工程における有益な知見を得ることを目的とした。ラマンイメージングスペクトルは、空間座標に加え波数方向の次元も持った多次元データである。実際のラマンイメージングの解析を困難にしている一つの要因として、このような多次元のデータの解釈が挙げられる。本研究ではケモメトリックスで用いられるSelf-Modeling Curve Resolution(SMCR)を基にし、スペクトルイメージングに適したアルゴリズムへと改良することにより、より詳細なラマンイメージの解析を可能にした。この開発手法を用い、ペントキシフィリン-パルミチン酸の混合錠剤やセルロース錠剤が攪拌工程において受ける物理・化学的影響を調べたところ、攪拌工程により錠剤中の成分が徐々に均一に分散されていく一方で、ペントキシフィリンやセルロースといった特定の分子はメカノケミカル効果により結晶性の低下を示した。この結晶性変化は製剤の溶出速度の遅延と相関していることから、製剤の溶出メカニズムには、成分の分布だけでなく成分間の分子レベルでの相互作用が深く関わっている事を明らかにした。
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Research Products
(3 results)