2007 Fiscal Year Annual Research Report
地球中心圧力における超高圧高温実験:内核物質の物性と相平衡関係の解明
Project/Area Number |
07J08291
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
桑山 靖弘 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 地球内部変動研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超高圧高温実験 / 相平衡 / 鉱物学 / ダイヤモンドアンビルセル |
Research Abstract |
地球の核の物質科学は、核の構造やダイナミクス・核の成長と地球の進化に与える影響・地球磁場の生成メカニズム・地球の熱史などを理解する上で非常に重要である。しかしながら、地球の内核は330〜364万気圧・数千度という超高圧高温条件下にさらされておりこれまでそのような超高圧高温条件下で核の物性を測定することは非常に困難であり、まだよくわかっていなかった。地球の中心を形成する内核は、わずかな量の軽元素を含む固体の鉄-ニッケル合金でできていると考えられている。したがって、核の構造や形成過程を知るためには、まず超高圧高温下における鉄、鉄-ニッケル合金および鉄-ニッケル-軽元素系の相平衡関係を明らかにすることが重要である。 本研究では、レーザー加熱ダイヤモンドアンビルセル超高圧発生装置と放射光X線観察技術を用いた高圧高温実験技術を開発し、これまで不可能であった300万気圧における物質の観察を可能にした。この技術を用いて、鉄の相平衡関係を調べ、鉄の構造が300万気圧まで六方最密構造であることを明らかにした。また、鉄-ニッケル合金に関する実験も行い、圧力-組成-温度を関数とした相平衡図を作成した。その結果、地球の内核の構造は、内核に含まれるニッケルの含有量に大きく依存することが明らかになった。さらに、鉄-シリコン合金に関する実験においては、X線回折実験に加えて、電子顕微鏡による組成観察も行った結果、内核中に多くのシリコンが取り込まれうることを明らかにした。
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