2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08299
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 洋子 Nagoya University, 生物機能開発利用研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 浮イネ / 節間伸長 / QTL解析 |
Research Abstract |
これまで、浮イネが示す深水条件下での節間伸長に関与する遺伝子についてQTL解析を行った結果、浮イネ性を誘導する遺伝子の中で最も強い作用を持つQTLが第12染色体に検出された。このQTLをマッピングしたところ、浮イネ性を誘導する候補遺伝子を見出し、浮イネの深水条件下での節間伸長に関する遺伝子としてSnorkel1(SK1)およびSnorkel2(SK2)と命名し、機能解析を行った。 機能解析の結果、SK遺伝子は既存のデータベースには存在しない新規の遺伝子であり、その内部にエチレン応答を示すAP2/ERFドメインを保持することが明らかとなった。そのため、転写活性化能および核局在性を調査したところ、SK遺伝子は転写活性可能を有する転写因子であることが明らかとなった。さらにSK遺伝子は、植物ホルモンであるエチレンに応答して発現が誘導され、エチレンシグナル伝達経路上で機能することが明らかとなった。 また、深水条件下の植物体に関して各種植物ホルモン含量の測定を、理化学研究所の榊原博士との共同研究で行ったところ、ジベレリンのみ浮イネと非浮イネの間で顕著な差が見られた。ジベレリンは植物の茎葉伸長を促進する働きを持つホルモンであることが知られているため、浮イネの深水条件下での節間伸長にジベレリンが深く関与していることが示唆された。以上のことから、深水条件下では、浮イネ・非浮イネともにエチレン含量の増加が起こるが、非浮イネではSK遺伝子を保持していないためエチレンシグナルを受け取れず枯死してしまう。一方浮イネではSK遺伝子がエチレンシグナルをEIN3を介して受け取り、直接的あるいは間接的にジベレリン経路に作用することでジベレリン含量が増加し、それによって節間伸長が誘導されるというモデルが考えられた。
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Research Products
(3 results)