2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08300
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
芳賀 拓真 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科・生物科学専攻, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 進化 / 化石 / 分子系統 / 種多様性 / 比較解剖 / 二枚貝 / 分類 |
Research Abstract |
多系統的に派生した穿孔性二枚貝のなかで唯一、高い多様性を得た機械的穿孔者・ニオガイ亜目の進化過程を解明するため、古生物学的、解剖学的、分子生物学的な観点から研究を進めた。その結果、本年度は以下めような成果を得た。(1):原生種の約75%に相当する85種について4種の遺伝子を用いて網羅的な分子系統解析を行い、60個の形態データを最節約的に復元した結果、本亜目は前後開閉運動を獲得したことで岩もしくは木に進出したことがわかった。また、岩や砂泥底へは何度も独立に進出していることもわかった。本結果は日本貝類学会および世界軟体動物会議で予察的に報告した。(2):木材穿孔者であるフナクイムシ科とキクイガイ科の中間的形質をもつXyloredo属の分類学的、解剖学的検討の結果、Neoxylophaga teramachiiとして知られていた種類は、本属に所属変更となった。また、現生Xyloredo属の棲管を鉱物学的に検討したところ、棲痕化石Teredolitesの分類に新基準を加えられることが示唆され、これらの知見をカリフォルニア軟体動物学会誌に報告した(印刷中)。(3):海外の博物館のタイプ標本と比較して本亜目全体の分類学的検討を進めた結果、木材穿孔者には少なくとも20種、岩石穿孔者にも2種の未記載種が存在することがわかった。うちニオガイ科の新種は、Jouannetia(Pholadopsis)spinosaとして記載、命名し、日本貝類学会誌に投稿した(査読中)。(4):分子系統解析から推定された原始形質を化石記録で裏付けするため、主に日本国内のジュラ系で調査を行った。その結果、155〜150Maに相当する相馬中村層群より殻が保存された世界最古のニオガイ亜目の化石を発見した。本化石は木に穿孔した状態で産出し、木材穿孔者に特異的な形質を示す。現在、詳細な検討を進めている。
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