2007 Fiscal Year Annual Research Report
性決定様式の異なるヤモリ属2種の同所の個体群間における性比の比較と影響要因の検討
Project/Area Number |
07J08378
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
山友 友里恵 University of the Ryukyus, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | TSD / 温度依存性決定 / 性比 / ヤモリ / GSD / 遺伝性決定 / RCM / 沖縄島 |
Research Abstract |
不安定ないし偏った性比を生み出すことが予想されるため適応的でないとされる温度依存性決定(TSD)種が,現実には多くの系統群で見られる理由の解明を目的として,異型性染色体を有し,遺伝性決定(GSD)を示すミナミヤモリGekko hokouensisと,同所的に生息しかつ系統的に近くほぼ同様の形態的特徴をもつ一方で,異型性染色体を持たず,TSDを示すと考えられる未記載隠蔽種オキナワヤモリGekko sp.(一名,クメヤモリ)の2種を対象に比較研究を進めた. 研究開始1年目である平成19年度にはまず,議論の土台となる両種それぞれの繁殖特性の把握を目的として,各種繁殖パラメータに関するデータの収集を進めた.このうち産卵雌の体重に占める一服卵重の割合(RCM)の比較からは,ミナミヤモリの雌がオキナワヤモリの雌よりも高い割合で一腹卵に投資していることが示された.このことはこれら2種間で繁殖戦略(産卵開始年齢,1産卵期あたりの産卵回数,孵化幼体の生残率等)が異なることを示唆している. 同時に,両種の卵を野外の温度条件下で孵卵することにより,産卵月と孵化幼体の1次性比の関係を調査した.ミナミヤモリでは産卵期初期(4-5月)と中期(6月)の卵ではやや雄が多い傾向があり,終期(7-8月)では雌雄はほぼ同数であった.オキナワヤモリでは産卵期初期と中期の卵では雌雄はほぼ同数であったのに対し,終期では有意に雌が多かった.これらの結果は1次性比が,いずれの種においても産卵時期によって変異すること,ただしその傾向は種間で異なることを強く示唆している.
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Research Products
(3 results)