2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08389
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
広川 幸花 Keio University, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 東北タイ / 農村開発 / 持続的農業 / 生活戦略 / 小規模農家 / 農法選択 / 国際研究者交流 / タイ |
Research Abstract |
本研究は、経済開発政策の影響を受け生活環境・農業経営に大きな変化のあったタイ東北部農村における小農民の合理的生活戦略として、現地で徐々に普及しつつある「持続的農業」が、制約された条件下での資源配分として、農民生活、農村社会、自然環境の維持と向上に対してどの程度有効であるかを検討するものである。 平成19年度は、現地のコンケン国立大学農学部の教授の指導のもとでタイ東北部の3つの農村に入り、35世帯に半構造型インタビューを行った。平成19年度以前の調査と合わせると合計で85世帯のデータとなり、どれも事例として扱えるだけの質的に詳細な情報となっている。3つの農村は洪水・干ばつといったリスク、市場との距離、地元大学プロジェクトやNGO支援の有無、有機農業に関する行政区の政策などが異なっている。村人の生活戦略の聞き取りを通じて、洪水・干ばつに備えたリスク対応、彼らの生活を支える公式/非公式な保険手段や、農法選択の際に生じる費用を削減させる住民組織の役割といったものを分析してきた。 上記のように研究を進め、平成19年度はタイのマヒドン大学の国際会議と韓国の延世大学のシンポジウムにて、研究の口頭発表を行った。後者の延世大学での発表はグループ発表であり、共著として論文集の一編に収められ出版予定となっている。平成20年度には経済発展段階や社会経済体制が異なるベトナム・ラオスとの国際比較を行う。そのためにラオス政府の農林省から調査許可を取得する手続きを進め、ベトナムノハノイ農業大学の教授に協力を依頼するなど、準備を進めてきた。本課題を、異なる発展段階・経済体制との国際比較を通じて、開発後進地域が経済発展につれて抱える経済格差の拡大や農業近代化によって脅かされる限界的小農の「生活の安定」に寄与しうる研究へと進展させていきたい。
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Research Products
(2 results)