2007 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカ南部の経済発展と奴隷制経済、及び19世紀大西洋経済圏の研究
Project/Area Number |
07J08400
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
柳生 智子 Meiji University, 政治経済学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | アメリカ南部 / 経済史 / 奴隷制経済 / 大西洋経済 / 奴隷取引 / 綿花 / 奴隷商人 |
Research Abstract |
当初計画した3年計画に沿って、1年目の研究は博士論文の成果をまとめ、論文の執筆を進める一方、学会発表を中心に活動した。研究遂行経費と科研費の特別研究員奨励費を用いて、論文の執筆を補強するためにアメリカでの現地資料収集も実地した。 国内での学会発表(平成19年6月のアメリカ学会、10月のアメリカ経済史学会)に加え、国際学会での発表(11月、Social Science History Association)でこれまでの研究成果と現在行っている研究の経過報告が実現できた。研究成果・経過報告(1)19世紀アメリカ南部の奴隷取引商人が、取引で生ずる様々なリスクを回避する手段として商人・金融ネットワークの強化、さらにアメリカ内外からの情報収集・連携のため精力的に活動範囲を広げていく過程を、アメリカ西部への領土的拡大との関連で分析。個別の奴隷商人やプランターの史料を使用。 (2)18世紀のチャールストンの商人の独占率を、船舶の関税記録から集中度とHHIを用いて算出し、従来想定されていたような、一部の商人層による大西洋貿易の独占は必ずしも見られなかったことを発表。この研究に関しては、今後、チャールストンだけでなく、植民地期アメリカの北東部諸都市も対象に比較分析を勧める予定である。 平成20年2月にアメリカのボストンとニューヨークで資料収集を行い、ボストンではハーヴァード大学ビジネス・スクール、ベイカー・ライブラリ所蔵のR. C. Dunコレクション(19世紀前半の商人・経営者の信用調査)、同大学のホートン図書館所蔵の奴隷取引文献も調査した。ニューヨーク公立図書館所蔵のデジタル文献と商人史料(ルイジアナ、バージニア)を調査することができ、特に奴隷商人への出資や商業活動の評価についての研究を継続している。
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Research Products
(4 results)