2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08448
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
利光 史行 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチピリジルポルフィリン配位子 / 表面超分子格子 / 表面電気化学 / SurMOF / 外場刺激応答 / 可逆構造変換 / 自己集合多積層膜 / 分子ダイオード |
Research Abstract |
本年度は、事前の計画を超えて、合成された配位子、及びその金属錯体の評価を行ったばかりでなく、それらを用いた金電極表面上での錯形成を試み、部分的にではあるが、規則的な構造を持った自己集合膜を構築することに成功した。具体的には、表面において三次元の相互作用を持つ配位子をデザイン、合成したことにより、従来難しいとされていた自己集合膜の積極的な三次元相互作用から発現される結晶的な規則構造を実現し、その評価を走査型トンネル電子顕微鏡で行った。この結果については、現在、より詳細な検討を行っており、論文としての発表を準備中である。また、表面の自己集合膜へのさらなる多積層化を目指した実験を重ねている。この新規な自己集合膜については、金属電極表面上に共有結合的に連結されて、かつ高次の規則配列を持つ自己集合膜の報告は今までになかったという点と、今後のナノテクノロジーの発展には必要不可欠な技術となりうる点から、非常に重要な課題であると判断し、この研究についてもさらに追求することとした。 また、当初からの計画にのっとり、上述した自己集合膜の上に、さらにゲストとなる機能性分子の配列を試みた。この結果についてはまだ予備的な知見の段階を超えないが、良好な結果が得られてきているものである。本年度はこの実験について詳細な検討を行っていく予定である。 また、共同研究者とともに行ってきた研究を論文として発表する。この研究では、金電極表面上に、チオール結合を介して段階的に積層した分子ワイヤーからなる自己集合膜の電気化学的特性について、種々の錯体を調整し、系統的な評価を行った。この研究における本研究者の寄与は、異なる構成要素からなる分子ワイヤー同士を比較検討するために、自己集合膜の上端を共通するフェロセン分子を持つ配位子によってキャップすることで可能になることを考案し、配位子の合成、および、その基礎物性の測定を行い、研究に供した。これにより得られた系統的な比較検討の結果、当研究室で開発された錯体型自己集合膜では、長距離電子移動が効率的に行われることが証明され、Chemistry-An Asian Journalにおいてその成果を発表する(in press)。
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[Journal Article] Superior Electron-Transport Ability of π-Conjugated Redox Molecular Wires Prepared by the Stepwise Coordination method on Surface2009
Author(s)
Yoshihiko Nishimori, Katsuhiko Kanaizuka, Tomochika Kurita, Toshiaki Nagatsu, Yu Segawa, Fumiyuki Toshimitsu, Satoshi Muratsugu, Mitsuya Utsuno, Shoko Kume, Masaki Murata, Hiroshi Nishihara
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Journal Title
Chemistry-An Asian Journal ((印刷中)掲載確定)
Peer Reviewed
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