2008 Fiscal Year Annual Research Report
味蕾細胞内の味覚シグナル伝達機構におけるグルタミン酸デカルボキシラーゼの役割解明
Project/Area Number |
07J08457
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
中村 友美 Nara Women's University, 生活環境学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | GAD / GABA / 味覚 / シグナル伝達 / うま味 / 塩味 / トランスポーター / 相互作用 |
Research Abstract |
グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)は、L-グルタミン酸を脱炭酸しγ-アミノ酪酸(GABA)を合成する酵素である。本研究ではGADの基質であるグルタミン酸がうま味の成分でもあることからGADの味覚への関与について調べることを目的としている。これまでに、味蕾細胞の中でも唯一神経と接続しているIII型細胞にGAD67が発現しGABA合成酵素として機能していることを確認してきた。また、Cl^-チャネル型のGABA_A受容体とCl^-とNa^+を共輸送するGABA輸送体の発現も認められたことから、GABAが産生されることで塩味にも影響を与えているのではないかと推察した。そこで、次に、細胞内でGAD67を介したシグナル伝達機構がどのように形成されているのかを調べるために、細胞内でGAD67を中心に相互作用するタンパク質群をマッピングすることを試みた。まずはサル脳を用いた。サル脳からタンパク質を抽出し、イオン交換クロマトグラフとゲル濾過クロマトグラフによってタンパク質を分離・精製し、それらを表面プラズモン共鳴法(Biacore)を用いてGAD67との相互作用の有無を確認した。そして、3つの候補タンパク質を見つけた。その中からglyceraldehydes-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)とL-lactate dehydrogenase(LDH)がGAD67と確かに結合し、GAD67の酵素活性を上昇させるということを確認した。今後さらにGAD67を介した味覚の味蕾細胞内シグナル伝達機構を明らかにし、細胞内でGAD活性をコントロールすることが可能となれば、将来、味物質の量をコントロールするのではなく、GAD活性をコントロールすることで味覚を調節することが可能となり、肥満や高血圧、味覚障害の患者さんの食事の問題に大きく貢献できるのではないかと期待される。
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Research Products
(11 results)