2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
景山 伯春 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 概日時計 / 夜更かし / 時差ボケ / 時計遺伝子 / 時計蛋白質 / リン酸化 / SCN / 松果体 |
Research Abstract |
哺乳類の生物時計は,時計遺伝子群と時計蛋白質群から構成されるネガティブフィードバックループによって成り立っている。私は哺乳類時計蛋白質の翻訳後修飾に興味を持って研究を進めてきた。その中で,ニワトリの"夜更かし型"位相シフトに関わる因子E4BP4に着目した。明暗サイクルで飼育しているニワトリに対して明期延長刺激を与えると,ニワトリの中枢時計組織である松果体において時計遺伝子(cPer2)の発現リズムの位相後退が引き起こされる。その原因となるのが転写抑制因子cE4BP4であり,実際に明期延長中にcE4BP4のmRNAレベルならびに蛋白質レベルが高いレベルで維持される(Doi et al.,PNAS,2001)。その結果,明期延長中にはcPer2の発現が抑制され,位相後退の引き金となる。さらにcE4BP4蛋白質はリン酸化修飾を介して分解されることが明らかになっている(Doi et al.,Curr.Biol.,2004)。このcE4BP4の分解シグナルが位相後退の幅を決定する鍵となる。一方,マウス等の哺乳類の中枢時計は視床下部の視交叉上核(SCN)に存在し,位相シフトを引き起こす光シグナルは網膜からSCNへ入力する。私はニワトリ松果体で明らかにされたE4bp4遺伝子の役割がマウスSCNにおいて保存されているか否かの検証を試みた。現在までの進展状況は,まずマウスに対して明期延長刺激を与え,SCNにおけるmE4bp4ならびにmPer1のmRNAレベルの蓄積パターンを調査した。また,SCNにおけるmE4BP4蛋白質の蓄積とリン酸化修飾を調査すべくmE4BP4に対する新たな抗体を作製している。さらに,mE4bp4遺伝子ノックアウトマウスを入手し,夜更かし型の光位相シフトにおけるmE4BP4の役割をマウス個体の行動解析を通して解析した。
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