Research Abstract |
本研究はプロセッサの高性能化として,マルチスレッドプロセッサに着目する.マルチスレッドプロセッサとして,SMTプロセッサとCMPを組み合わせたOChiMuS(On Chip Multi SMT)プロセッサを提案し,このプロセッサに対し,様々な新しい提案を取り入れることにより,プロセッサ全体の高性能化を目指す.また,FPGAを用いて具体的に実装を行い,OChiMusプロセッサのハードウェア量評価,動作周波数評価を実践し,実現可能性を検証する. まずSMTプロセッサ(OChiMuSPE)単体の高速化について取り組んだ.SMTプロセッサの高速化として,プログラム実行中に擬似LRUとSMTプロセッサ向けキャッシュリプレース方式を動的に切替える「キャッシュリプレース動的切替え方式」を新しく提案し,プロセッサの性能向上を実現した.キャッシュリプレース動的切替え方式として,「スレッド競合ミス率を切替えパラメータとする動的切替え方式」と「セットごとにリプレース方式を切り替える動的切替え方式」の2つの方式を提案し,設計した.評価の結果,提案した各動的切替え方式は有効に動作し,擬似LRUと比べ最大1.427倍の性能向上を実現した. 次に,「FPGAにおけるマルチスレッドプロセッサシステム評価環境」を構築するため,FPGA上にSMTプロセッサ,キャッシュメモリ,DDR-コントローラ,その他各種I-0を実装し,OChiMuSのFPGA上における研究基盤を整えた.実装したマルチスレッドプロセッサシステム評価環境はFPGA実機上で正確に高速動作している.FPGA実機上でプログラムを評価するので,プログラム評価時間はソフトウェアシミュレータと比較し劇的に向上し,マルチスレッドプロセッサのハードウェア量,動作周波数の評価を簡単に行えるようになった.
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