2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08494
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田尾 亮介 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Business Improvement Districts / 受益者負担 / 地域協働 / 財政法学 / 行政法学 |
Research Abstract |
米国と英国で近年発展を見せているBusiness Improvement Districtsという受益者負担制度の研究を行ってきた。現在は、この制度を我が国に導入した揚合の問題点、さらには、地方公共団体の中の一定地区において特別の行政需要が存在する場合の財源確保の手法を、解釈論と立法論の観点から研究を行っている。したがって、研究内容は、現行の受益者負担制度のみならず、土地税制、地方公共団体の課税自主権の問題、地域協働等、多岐にわたる。 この研究は、地域が主体となって管理運営を行うまちづくり事業の財源問題と密接な関連を持ち、その意義は、開発規制型社会から管理運営型社会へ移行する中での地域協働の新たな法的枠組みを提示することにある。インタビュー取材を含めたこれまでの研究成果をまとめて、近日中に雑誌に掲載することを予定している。 地方公共団体にとって、必要な公共サービスの財源をどのように確保するかは重要な政策課題である。この研究を遂行する過程で、地方公共団体が事業者となる水道事業の水道料金設定方法の適法性等が問題となった最高裁判決について、報告を行う機会を得、それをもとに、判例評釈を雑誌に発表した。 また、一般の租税と異なり、受益と結びついた負担の重要性が高まる中で、社会保障分野における社会保険料の法的規律が、その財政規模を考えても、今後重要なテーマとなる。そのような趣旨から、市町村が行う国民健康保険の保険料への租税法律主義の適用が問題となった最高裁判決について、報告を行う機会を得、さらに検討を重ねて、判例評釈として雑誌に発表した。 以上の研究は、総じて、租税以外の様々な負担形式、収入形式に着目し、それによって、都市基盤整備費用をはじめとした地方公共団体の財源確保の在り方を検討するものであり、法政策論としても意義を有すると考える。
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