2007 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症患者の思考障害における概念体系の異常に関する実証的研究
Project/Area Number |
07J08502
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清野 絵 Keio University, 大学院・政策・メディア研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 統合失調症 / 思考障害 / 認知機能 / 認知障害 / 連想実験 / 近赤外線スペクトロスコピー / 脳機能イメージング / 概念 |
Research Abstract |
1. 研究内容 (1)統合失調症の認知機能に関する研究 統合失調症患者の思考障害および認知機能障害に関する研究として、はじめに統合失調症群と健常者群を対象に統合失調症患者に連想実験を用いた概念構造評価を実施することの意義を明らかにした。次に、連想実験と脳機能との関連を明らかにするため今年度は健常者群を対象として、連想実験、認知機能と脳機能に関する冠するデータを収集し検討を行った。脳機能としては、前頭葉機能を反映すると考えられる検査および、大脳皮質を通る血管内のヘモグロビン濃度を取得する脳機能イメージング技術である近赤外線スペクトロスコピーを用いた。 (2)統合失調症の治療に関する研究 統合失調症の治療に関する研究として、はじめに健常者を対象にストレス対処と認知機能および人格特性との関連について明らかにした。次に統合失調症患者の予後予測指標の開発として、精神作業課題を用いて患者の予後を予測できることを明らかにした。 2. 研究の意義、重要性 これまで統合失調症の認知障害や思考障害についてエビデンスに基づいた実証的な研究はほとんどなかった。そのため、質問紙法・実験法・面接法といった実証的な手法を用いて思考障害を科学的に研究し、その関連を明らかにしようとする本研究の意義は大きい。思考障害のメカニズムを実証的に研究すること、さらに別々になされることの多かった生物的、認知的、行動的システムを一つの研究の中で包括的に研究することは、より効果的なアセスメントや治療につながり、さらに脳との関連や介入方法についても、検討する本研究は強いインパクトを持つ。さらに、情報処理の手法を用いることで思考障害および思考という複雑な機能をコンピュータ上でシミレーションすることが可能になり、他分野の研究者との共同研究や新しい視点を持った研究への広い将来性を持つ。
|
Research Products
(9 results)