2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性体シリサイド/ゲルマニウム界面の原子層制御によるスピン融合型集積回路の創出
Project/Area Number |
07J08530
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上田 公二 Kyushu University, 大学院・システム情報科学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | シリサイド / スピントロニクス / 分子線エピタキシー |
Research Abstract |
集積回路の微細化限界打破に向けたポストスケーリング技術としての期待が高まっているSi系スピントランジスタの実現を目指し、本年度は分子線エピタキシー法を用いてIV族半導体(Si, Ge)上に界面制御された強磁性体シリサイドFe_3Siを高品質形成する手法を検討した。Si基板上において基板面方位、成長温度を変化させてFe_3Si層のエピタキシャル成長を行ったところ、Si(111)基板上でエピタキシャル成長を実現したが、Fe_3Si/Si界面に凹凸(〜10nm)が発生し、その結果としてスピン散乱を引き起こす問題が生じた。この原因がFe_3SiとSiの格子不整合率(〜4%)に起因していることをつきとめ、その問題解決のために、Fe_3Siとの格子不整合がほとんどないGe基板上におけるFe_3Si層のエピタキシャル成長を検討した。基板面方位、堆積レート、成長温度、Fe/Si組成等の成長条件を系統的に変化させて実験を行い、Fe_3Siエピタキシャル成長に与える界面原子配列と表面マイグレーションの影響について解明した。その結果を用いて成長条件の最適化(130℃成長,化学量論組成)を行い、Ge(111)基板上において非常に良好な結晶性を有し、界面が急峻なFe_3Siの原子層制御エピタキシー技術を確立した。また、スピン偏極率の向上を目指し、Fe_3Si結晶の規則構造化を促進させる目的で低温ポストアニール(200℃)を検討し、界面急峻性と規則構造化を両立させることに成功した。この結果は、強磁性体シリサイドFe_3Siと高移動度半導体Geを融合させることにより、キャリヤ移動度の高いSi系スピントランジスタを創出できることを示唆する重要な成果である。
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Research Products
(11 results)