2007 Fiscal Year Annual Research Report
カイラル対称性に基づいたエキゾチックスとハドロン動力学の研究
Project/Area Number |
07J08538
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
兵藤 哲雄 Kyoto University, 基礎物理学研究所, 特別研究員PD
|
Keywords | ハドロン分光学 / カイラル対称性 / K中間子原子核 / lare Nc極限 / 国際情報交換 / ドイツ:スペイン |
Research Abstract |
カイラル動力学に基づいたチャンネル結合法(カイラルユニタリー模型)でLambda(1405)共鳴の性質を調べた。 1:カイラルユニタリー模型に基づいたKNポテンシャルを構築した。KN以外のチャンネルを消去する事で、1チャンネルの有効相互作用と対応するポテンシャルを体系的に導いた。pi Sigmaチャンネルの引力相互作用がLambda(1405)に極が2つ存在する構造の原因になっていることを明らかにし、この効果がK中間と核子の相互作用の強さに影響を与えることを指摘した。 2:得られたKNポテンシャルと現実的核力を用いてK中間原子核の少数計算を行った。カイラル対称性の要求するpi Sigmaの相互作用の効果で、KN相互作用の引力は現象論的模型より小さくなり、結果として得られるK-pp状態の束縛エネルギーもそれほど大きくならないことを明らかにした。 3:カラー数Ncを変化させることで、Lambda(1405)のクォーク構造を明らかにした。既知の3クォークバリオンのNcスケーリングとカイラルユニタリー模型の予言を比較することにより、Lambda(1405)における3クォーク成分が小さいことを明らかにした。Lambda(1405)の2つの極のうち1つがlarge Nc極限で生き残ることを明らかにした。 4:カイラルユニタリー模型で生成される共鳴の性質を調べるうえで、繰り込み条件が有効に利用できる事を明らかにした。N/D法と矛盾の無い形で繰り込みを行い、現象論的繰り込みと比較することで、低エネルギー相互作用に動的でない共鳴の起源が存在しうることを示した。実際の現象を解析し、Lambda(1405)に関しては動的な成分が主要になっていること、一方でN(1535)においては動的でない成分の効果が無視できないことを明らかにした。
|