2008 Fiscal Year Annual Research Report
染色体安定化とDNA修復におけるヒストンH2AXリン酸化の生物学的機能の解析
Project/Area Number |
07J08571
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
市島 洋介 Tokyo Medical and Dental University, 特別研究員(PD)
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Keywords | DNA損傷応答 / 染色体安定性 / H2AX / 四倍体 / 分裂期 |
Research Abstract |
染色体を安定に保つことは発癌のリスクを下げるうえで非常に重要であり、ヒストンH2AXはDNA損傷応答に機能することで染色体安定化に寄与している。我々は初めに分裂期に着目し、DNA損傷チェックポイントの機能解析を行った。 分裂期の細胞においてDNA損傷チェックポイントの活性化は、間期の細胞より非常に強く検出された。しかし、チェックポイントの強い活性化にも関わらず、分裂期の進行は停止せずに進行してしまうことが判った。さらに分裂期におけるDNA修復効率をリン酸化H2AX(γ-H2AX)の減少の度合いとコメットアッセイにより調べたところ、分裂期ではDNA修復がほとんど行われないことが明らかとなった。 このような分裂期におけるDNA損傷応答の機能不全が腫瘍形成の原因になり得るのではないかと考え、分裂期のDNA損傷と染色体異常の発生について調べたところ、γ-H2AX陽性である分裂期の細胞は細胞分裂を失敗し四倍体の細胞になってしまうことが示唆された。MEFを不死化させる実験系を用いて、分裂期でのγ-H2AX、四倍体細胞産生、細胞の不死化の相関関係を調べてみたところ、驚いたことに不死化したばかりのMEFは四倍体になっていて、さらに分裂期でのγ-H2AXやMEFの不死化との相関が認められた。不死化したMEFの継代を繰り返していくことで、染色体の欠失が起きて、やがて細胞は四倍体から異数体になることが明らかとなった。 DNA損傷応答、染色体安定性に関わる新規因子を同定するため、カナダSamuel Lunenfeld Research Institute,Dr.Daniel Durocher研究室において研究を行った。DNA損傷に応答し損傷部位でフォーカスを形成する新規因子を同定し、現在は詳細な分子メカニズムの解析を行っている。
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Research Products
(1 results)