2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08602
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
李 賀 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 貿易自由化 / フェアトレード / グローバリゼーション / 貿易と労働 / 貿易と環境 / 貿易と知的財産権保護 |
Research Abstract |
ご周知の如く、1995年にWTO体制が発足してから、世界範囲においては、貿易自由化一辺倒の流れが急速的に進行しつつあり、国内範囲の議論においても、「規制緩和」・「規制撤廃」のムードが相当濃厚的である。新古典派経済学の主張が、だんだん世界中を制覇しつつあるようになる。もちろん、19世紀イギリスのアダム・スミスが当時隆盛していた「重商主義」を批判したうえで、有力的に主張された「自由貿易」は、世界中の資源の効率的配分をもたらしたとは疑問がなかろう。しかし、WTO体制は、従来のガット体制に比べて、まるであらゆる方面が貿易の論理で、論じられているようで、物の貿易だけではなく、サービス、知的財産権もWTOの枠組みに取り入れられたことは問題がないではない。本研究は、「貿易はすべてではないはずだ」という素朴な出発点から、WTO体制における「非貿易的関心事項」に関する議論を考察した上で、現在の通商体制の理想像を探求することを目的とした。具体的に言えば、「貿易と労働」、「貿易と環境」、「貿易と知的財産権」をめぐる内外にわたるさまざまな議論、大量の論文を集めたうえで考察した結果、「労働基準問題」や、知的財産権保護のハーモナイゼーション問題は、国際的公共財を維持する観点から、WTO体制の中に持ち込むことに、反対する。なお、近年特に活発化する貿易と環境をめぐる議論をも視野に入れつつ、ドーハラウンド交渉の動向を注視している。GATTでは、あまり自由貿易と環境保護の関係が明確化されていなかったため、WTO体制下においては、環境保護を目的に、貿易を制限するケースがすでに多数発生している。この背景の下では、どこまで貿易制限措置を設けることができるかという問題をはっきりさせる必要がある。従って、本研究は、上記の問題意識を常に念頭に置いて、博士論文執筆を機会に、WTO体制下における自由貿易と公正貿易の相剋関係を究明したい。
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Research Products
(1 results)