2008 Fiscal Year Annual Research Report
ホスホールを含む大環状化合物に関する研究:諸物性の解明及び触媒反応への利用
Project/Area Number |
07J08618
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中渕 敬士 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ポルフィリン / リン原子 / 芳香族性 / 配位能 / 20πポルフィリン / ホスフィンオキシド |
Research Abstract |
報告者は、ポルフィリンの一つの窒素原子をリン原子で置換した構造を持つホスファポルフィリン誘導体に関する研究を行っているが、平成20年度は、特にこのホスファポルフィリンの反応性に注目して研究を行った。その結果、ホスファポルフィリンが1)遷移金属や2)過酸化水素に対して興味深い配位挙動・反応性を示すことが明らかとなった。以下、それぞれについて簡単に述べる。 1)23-ホスファ-21-チアポルフィリンにPd(dba)2を作用させたところ、錯形成に伴いポルフィリン環の2電子還元が進行し、結果として20πポルフィリン-Pd(II)錯体が得られることが明らかとなった。20π系の構造を持つポルフィリンは通常不安定であり、特に、その遷移金属錯体が安定に単離された例は、本系が初めてである。 2)21-ホスファポルフィリンおよび23-ホスファ-21-チアポルフィリンに対して過酸化水素を作用させ、コアのリン原子のオキソ化を行ったところ、前者は22π芳香族性の骨格へ、後者は20π反芳香族性の骨格へとそれぞれ変換されることが明らかとなった。この結果は、コアのリン原に対して化学修飾を施すことで、ポルフィリンのπ電子構造を劇的に変え得る、という非常に興味深い事実を示している。
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