2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍診断のための顕微ラマンイメージング分光法の装置開発と性能評価
Project/Area Number |
07J08645
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大嶋 佑介 Aoyama Gakuin University, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | ラマン分光 / ラマンイメージ / 肺がん / 培養細胞 / ドライアイ / マイボーム腺 / がん診断 / 主成分分析 |
Research Abstract |
昨年度中に完成した腫瘍診断のためのダイレクトラマンイメージ分光のプロトタイプシステムを細胞測定のための顕微ラマンイメージングシステムへと改良を進めてきた.また,腫瘍診断の指標となるラマンピークとして,細胞質内のミトコンドリアに局在するヘム蛋白の一種であるシトクロムcが有用であることが培養細胞を用いた測定により明らかになった.主成分分析による解析の結果,がん細胞株と正常細胞株の比較においては,ラマンスペクトルに基づくクラス分けが可能であった.さらに,異なる組織型のがん細胞株どうしの比較においても識別が可能であった.肺がんにおいてその組織型の判定は,治療法や予後の決定に極めて重要であるため,ラマンスペクトルのリアルタイム測定による組織型の判別法の確立が期待される.培養細胞を用いた本研究においては細胞内の分子組成に限定することで,がんと正常の識別を可能にした.新たな臨床ターゲットとして,ドライアイ(マイボーム腺機能不全)の診断と発症メカニズム解明へのラマン分光法の応用を試みた.米国ケンタッキー州ルイビル大学医学部との共同研究で,眼球表面を乾燥から保護している脂質(マイボーム脂質)を,マイボーム腺機能不全の患者および健常者より採取し,ラマンスペクトル測定を行った.脂質成分においては,マイボーム腺機能不全の患者と健常者で顕著な差は見られなかったが,健常者のマイボーム腺分泌物にはカロテノイド由来のラマンピークが観測されたのに対し,マイボーム腺機能不全の患者ではカロテノイド由来のピークが観測されないもしくは非常に弱いことが明らかになった,マイボーム脂分泌物に関する非常に興味深い知見を得ることができた.白内障の診断やメカニズム解明にもラマン分光法の応用を拡大し,眼科領域におけるラマン分光法の有用性を検討していく.
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Research Products
(5 results)