2009 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍診断のための顕微ラマンイメージング分光法の装置開発と性能評価
Project/Area Number |
07J08645
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
大嶋 佑介 Aoyama Gakuin University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラマン分光法 / 肺がん / 培養細胞 / イメージング / DSLM / 組織型 / 判別分析 / 主成分分析 |
Research Abstract |
1.腫瘍組織の診断の迅速化および細胞内・組織内分子のリアルタイム計測を目標として,レーザーシート法によるラマンイメージ測定のためのプロトタイプ装置を製作した.従来のラマンイメージ分光ではスペクトルの膨大なポイント計測が必要であったのに対し,本システムではシリンドリカルレンズを用いてレーザー光をシート状に広げて試料に照射し,試料を直接カメラレンズで撮影することで,非常に短い時間でのラマンイメージングを可能にした.また,カスタムバンドパスフィルタの組合せにより高い波数分解能が実現した.本試作システムをライトシート型蛍光顕微鏡(DSLM)に導入することによって,生体試料のラマンイメージ測定に成功した.さらに,サンプルをスキャンして複数のイメージを重ね合わせることで3次元的なイメージを構築することが可能となった.今後は,実用化に向けて画質向上を図るとともに蛍光プローブを用いたイメージングと併用して腫瘍組織の測定を行う. 2.ヒト肺がん培養細胞を用いた腫瘍診断マーカーの探索を行った結果,シトクロムc由来の共鳴ラマン散乱ピークががん細胞株を判別する上で重要であることが明らかになった.線形判別分析によって,組織型の異なるがん細胞株を特徴づけることに成功した.実用化に向けて,生細胞のラマンスペクトル測定におけるレーザー照射時間等の条件検討を行った.その結果,細胞へ悪影響を与えることなく定量的な測定を行うことに成功した.また,細胞小器官ごとにラマンスペクトルを測定することで,がん細胞におけるスペクトル変化を細胞内分子ダイナミクスへ帰属することを試みた.今後は,細胞活性や細胞周期の解析やがん化メカニズム解明のためのツールとして開発を続けて行くとともに,ラマンイメージングによる診断システムの実用化試験を行う.
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Research Products
(11 results)