2008 Fiscal Year Annual Research Report
ラテンアメリカ開発政策における「第三の道」に関する研究
Project/Area Number |
07J08660
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 善道 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | チリ / 賃金格差 / 教育の収益率 / quantile regression / 非伝統農業輸出 / ステープル理論 / 連関効果 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の具体的な方法の第1である「チリにおける賃金格差の要因」、第2である「チリにおける非伝統農業輸出が生産構造に与える影響」の二つの分析において、以下のような進展があった。第1に関しては、2007年10月のラテン・アメリカ政経学会における発表を加筆修正して、同学会誌であるラテン・アメリカ論集に投稿した結果、2回の査読を通過し出版されるに至った。2007年11月より実施している計量経済学の研究会では、2008年8月までにノンパラメトリック回帰、セミパラメトリック回帰、quantile regressionなどのトピックを終了させることができた。2008年11月の国際開発学会における発表では、この成果を利用して、その有用性にもかかわらず、ラテンアメリカ諸国を対象とした実証分析では十分に用いられていないquantile regressionを用いて、チリでは教育の収益率(特に高等教育、中等教育)が所得階層によって大きく異なっていることを示すと同時に、それだけでは賃金格差の要因を十分に説明し得ないことも指摘した。第2に関しては、2008年12月のラテン・アメリカ政経学会における発表で、一次産品が十分な連関効果を持つならばそれに基づく経済発展が可能であるというステープル理論に依拠して、過去20年以上チリにおいて経済成長のリーディングセクターとなっている非伝統農業輸出の連関効果を計測し、チリにおける同部門は後方連関効果が比較的高いことを示した。この報告は、極めて活発な討論を喚起し、学説史、理論との位置づけを踏まえている点、一次産品輪出に基づく持続的な経済発展の可能性を示唆している点などが評価されると同時に、今後の改善点に関する多くのコメントをいただくことができた。
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Research Products
(4 results)