2007 Fiscal Year Annual Research Report
三角形障壁をもつアハロノフ・ボーム量子ドット:量子整流の一つの可能性
Project/Area Number |
07J08667
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
増田 俊平 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 整流効果 / ナノデバイス / スピン軌道相互作用 / 二次元量子ドット / アハロノフ・ボーム フッラクス / 量子ラチェット |
Research Abstract |
近年、微細加工の技術の進歩に伴い、量子効果を利用したナノデバイスの研究が盛んに行われている。我々はRashbaスピン軌道相互作用下にある二次元量子ドットとスピン偏極した電流の注入を用いて整流効果をもった量子ラチェットのモデルを提案した。このデバイスでは我々が以前に考案したアハロノフ・ボームフラックスを用いた量子整流のように時間変化する付加的な外場を必要としないといゆう利点がある。この量子整流の機構にはドットの対称性が非常に大きな役割を果たす。我々は整流効果とドットの幾何学的な対称性の関係を、散乱理論を用いて明らかにした。 この整流効果を発生させるためには、ドットの左右の対称性ではなく、古典的な描像に反して上下の対称性を破ってやらなくてはならない、という興味深い結果を得た。 線形応答の議論からはドットの形状や対称性に関係なく、左右からの電子の透過確率は等しいという結論が得られるが、我々のモデルではスピン偏極した電子を注入しているために整流効果が得られる。 さらに整流効果がスピン軌道相互作用やドットの幾何学的構造に依存しているため、このデバイスには整流効果の大きさを外場により調整することが出来るという、従来のpn接合を利用したダイオードにはない便利な特徴がある。 また整流効果のフェルミエネルギーとスピン軌道相互作用に対する依存性をリカージョングリーン関数の方法を用いて数値的に求め、整流効果が10K程度の有限温度下でも十分期待できることを示した。
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Research Products
(3 results)