2007 Fiscal Year Annual Research Report
ニワトリ胚の独自的な脂質代謝機構に基づく成長制御メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J08676
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐藤 桃香 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エネルギー消費量 / 産卵鶏 / 脂質代謝 / ニワトリ / 胚 / ニワトリ |
Research Abstract |
ニワトリブロイラー胚は産卵鶏胚よりも成長が早くエネルギー源である卵黄脂質を多く利用する。しかしながら、系統間における成長差や脂質代謝の違いを引き起こす要因はわかっていない。胆汁酸は脂質の消化吸収に重要な因子であるため、胆汁酸の合成量の違いがブロイラー胚と産卵鶏胚における脂質代謝の違いを引き起こす可能性が示唆された。胆汁酸は肝臓でコレステロールから合成される。そこでコレステロール合成阻害剤であるプラバスチタチンを受精卵内投与し、間接的に胆汁酸の合成を抑制することにより、ニワトリ胚の成長および肝臓中脂質代謝への影響を調査した。その結果、ニワトリ胚重量および肝臓中脂質含量はプラバスタチン投与濃度に従って減少した。これらのことからコレステロールから合成される胆汁酸などの何らかの因子が、両系統胚の成長および脂質代謝の違いを引こす因子である可能性が示唆された。また、ニワトリ胚は脂肪酸酸化によるエネルギー源を得ることが報告されている。そこで脂肪酸酸化の律速酵素である3ヒドロキシアシルCoAデヒドロゲナーゼ(3HADH)の活性を測定し、ブロイラー胚と産卵鶏胚とで比較した。その結果、3HADH活性はブロイラー胚の方が産卵鶏胚よりも高かった。このことからブロイラー胚の方が産卵鶏胚よりも成長のためのエネルギー源を獲得する量が多いことが示唆された。 ブロイラー胚と産卵鶏胚にエネルギー消費量の違いがあることも報告されている。そこで、成長速度が異なる名古屋コーチンの肉用タイプ胚と卵用タイプ胚とでエネルギー消費量に違いがあるかを調べた。その結果、肉用タイプ胚のエネルギー消費量が卵用タイプ胚よりも低かった。このことからブロイラー胚と産卵鶏胚で見られたエネルギー消費量の結果と同様な結果となり、成長の早いニワトリ胚の方が遅いものよりもエネルギー消費量が低くなることを明らかにした。
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Research Products
(5 results)