2007 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝性疾患患者家族の心理的ストレスとその関連要因に関する研究
Project/Area Number |
07J08686
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
安藤 記子 Kitasato University, 大学院・医療系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 遺伝カウンセリング / 遺伝性疾患 / 言葉の印象 / 変異 / 乳がん / 心理的ストレス / 家族歴 |
Research Abstract |
1.(研究課題1遺伝性疾患患者家族が抱く遺伝医療で用いられる言葉に対する印象と知識量が言葉の印象に与える影響に関する研究) 〜遺伝医療の場で遺伝性疾患の説明を実施する際に使用される言葉(遺伝子の変異、遺伝子の変化、遺伝子の傷)について、小児科遺伝外来に通う患者の家族がどのような印象を抱いているかについて調べ、"遺伝子突然変異"という言葉の知識量と言葉の印象との関連性について検討した。 その結果、(1)小児科遺伝外来に通う患者の家族(おもに親)は、言葉の印象には知識量の影響は受けないものの、「遺伝子の傷」は他の2語に比べると発達性を感じられず、「遺伝子の変化」に比べで好ましさが低いことから、「遺伝子の傷」という言葉は他の言葉に比べて否定的な印象を持つ言葉であることが示唆された。(2)患者の年齢が低いと「遺伝子の変異」「遺伝子の傷」という言葉に対して「遺伝子の変化」よりも好ましさを感じていない一方で、患者の年齢が高いと3つの言葉の印象に対する好ましさには差がなかった。(3)患者家族と学生が「遺伝子の変異」という言葉に対して抱く印象に関する比較からは、患者家族が学生と比較して「遺伝子の変異」という言葉に対して好ましさ、発達性、意図性を感じていなかったことがわかった。以上のことから、遺伝性疾患を説明する際には、使用する言葉の選択のより注意深い配慮が必要であることが示唆された。これらの知見は、実際の遺伝医療現場における臨床実践に有用なものであった。研究内容は、日本人類遺伝学会第52回大会、日本心理学会第71回大会および第20回日本総合病院精神医学会にて発表を行った。 2.(研究課題2遺伝性疾患患者の心理的ストレスとその関連要因に関する研究) 〜乳腺外来受診患者における、乳がんの家族歴、心理的ストレス、個人特性の関連を調べるため、情報収集(カルテ情報の収集)およびデータ解析に着手したところである。
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Research Products
(4 results)