2008 Fiscal Year Annual Research Report
フォトクロミック分子を用いた光応答性相互作用と超分子構造制御
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07J08700
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣瀬 崇至 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究院(DC1)
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Keywords | ジアリールエテン / フォトクロミズム / 自己組織化 / 両親媒性 / 下限臨界溶液温度(LCST) |
Research Abstract |
本年度は、疎水性相互作用を利用した水中における超分子組織化および光誘起超分子環境変化に対して効果的な分子設計指針を追求する為に、分子両末端に導入した両親媒性側鎖の割合を変化させた誘導体及び、フォトクロミック反応時に最も大きな構造変化が見られる反応点炭素部位に側鎖を導入した誘導体を合成し、その超分子組織化挙動と光反応性に関して検討を行った。 両親媒性側鎖の割合が多い誘導体は水への溶解性が高く、動的光散乱測定(DLS)から数nm以下の小さな構造体の形成が示唆され、励起子分裂型のCD強度は非常に弱いことが確認された。反対に、両親媒性側鎖の割合が少ない誘導体は水への溶解性が非常に低く、200nm以上の大きな構造体が形成されており、中程度のCD強度を示すことが確認された。分子モデルや2D-NOESY測定から水中において両親媒性側鎖が疎水性部位を取り囲んだ立体構造が支持され、適度な体積割合の両親媒性側鎖を有する化合物が水中において最も良好な組織化挙動を示し、最も高い強度のCDを発現することが認められた。疎水性相互作用を利用した組織化には疎水部位と親水部位の体積比が重要な要素であり、この適度な体積比は分子モデル等を用いることで、ある程度設計が可能であるという興味深い知見が得られた。 反応点炭素部位に両親媒性側鎖を導入した化合物は、これまでに合成した誘導体とは異なり、開環体状態においてもCDを示すことが認められた。また、得られたCDは組織化構造のキラル環境に由来するものではなく、分子自身が持つ構造のキラリティー((P)-helixまたは(M)-helixの配座異性体)の偏りに由来するものであることが各種測定から示唆された。このキラリティーの偏りに由来して、ジアリールエテンの不斉閉環反応(d.e.〜3.6%)が観測され、閉環体においても励起子分裂型ではない成分のCDが優先して観測された。
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Research Products
(4 results)