2007 Fiscal Year Annual Research Report
雲岡石窟における西方影響と中国化-石窟本尊の変遷と編年問題を中心に-
Project/Area Number |
07J08714
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
安藤 房枝 Nagoya University, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 雲岡石窟 / 北魏仏教 / 仏伝図 / 本生図 |
Research Abstract |
本年度は、雲岡石窟における西方影響を考える際の比較資料として、西インドのマハーラーシュトラ州、マディヤ・プラデーシュ州に現存する前期・後期石窟寺院の現地調査および現地の博物館収蔵彫刻の調査を行った。中国の甘粛省の早期石窟寺院およびその影響下にある中原の早期石窟寺院には、造像様式の上でインド影響が色濃く、また雲岡石窟、敦煌莫高窟に多くみられる仏図伝、本生図などの説話図は、インドの後期石窟寺院に共通する主題が多く見出される。現地調査によりインドの石窟寺院にみられる先例を収集し、雲岡石窟にみられる尊像の図像や説話図の表現形式について、西方伝来の要素と中国化により生じた要素を明確に区分し、図像変遷、表現形式の変遷について検討した。 また、国内の美術館・博物館所蔵の中国彫刻の現地調査を行い、写真資料の収集と重要図像については書起し図の制作を行った。 平行して、前年度までに調査を行った山西省、河南省、陜西省、甘粛省に点在する南北朝時代の小規模石窟寺院に関する資料整理を行い、弥勒信仰と強い繋がりをもつ交脚菩薩像を中心として重要な尊格の図像を詳細に検討した。画像資料については随時データベース化の作業を進め、重要な図像については書き起し図の制作を行った。 以上の研究結果に基づき、雲岡石窟の初期造像における西方的な要素の抽出と、その図像・様式の中国化の過程を明確にしたことが、本年度の主な研究成果である。
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