2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J08729
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
横田 慎吾 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | セルロース / 構造性多糖 / ナノ薄膜 / 自己組織化 / バイオインターフェース / 金ナノ粒子 / アミン-N-オキシド / in situ糖鎖修飾 |
Research Abstract |
これまでに、セルロース系多糖の分子鎖ベクトルを制御した多糖分子自己組織化膜(SAM)の構造構築に成功した。本年度は主に、(1)各種多糖分子SAMのバイオインターフェース機能と、(2)造膜手法を金ナノ粒子に応用した新規糖鎖系ナノマテリアルの創出、について検討した。 (1)近年、細胞工学分野において、動物細胞培養基材の表面組成・ナノ構造と細胞応答性との相関が注目されている。本研究では、構成多糖や分子配向状態等を制御した多糖膜の細胞培養特性を検討した。セルロース膜上でラット肝細胞を培養した結果、セルロースSAM(平行鎖)には良好に細胞が接着したが、再生セルロース膜(逆平行鎖)では細胞がほとんど接着しなかった。つまり、同一組成の膜においても、その分子配向状態の差異が細胞応答性に深く関与するという新知見を得た。また、メチルセルロースとヒドロキシエチルセルロースからなるSAMについては、前者では極めて良好な接着・増殖性が示され、後者では全く細胞が接着しなかった。すなわち、膜構成多糖の側鎖修飾により、膜の生体機能を容易に制御可能であった。 (2)特異な光学特性を示す金ナノ粒子(GNP)は、糖鎖等の機能分子との複合化によるバイオセンサーへの応用が期待されている。一般にGNPは、Au錯イオン溶液に還元剤を外添することで得られるが、溶媒溶解性の低いセルロースは複合化の対象になり得なかった。しかし本研究では、セルロース溶剤のN-メチルモルフォリン-N-オキシド溶液にHAuCl_4水溶液を滴下するだけでGNPが生成することを見出した。この新規合成法により、セルロースによるGNPのin situ修飾が可能となった。得られたセルロースーGNP複合体は、修飾セルロースの鎖長を制御することで、GNP表面で部分的に平行鎖結晶を構築可能であったことから、今後、セルロースのナノ構造化特性を活かした糖鎖系ナノマテリアルの機能創出に期待が持たれる。
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Research Products
(20 results)