2008 Fiscal Year Annual Research Report
言語とアイデンティティー-ウズベキスタンの言語政策とコミュニティ社会-
Project/Area Number |
07J08762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
BAKHRONOVA MUNISA The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウズベキスタン / マハッラ(地域共同体) / 言語 / アイデンティティー / コミュニティ社会 |
Research Abstract |
本年度は、8月22日〜10月1日の41日間、ウズベキスタンのサマルカンドにおいてフィールドワークを実施する等、調査地における調査活動を本格化した。近年の言語政策による言語使用の変化や、それに対する住民の考えや認識のあり方を明らかにすることが目的である。調査対象地は、昨年度調査でも訪れたサマルカンド市内にある4つのマハッラ(Xuja・Zudmurodマハッラ(タジク人が主に居住する)、Qoraboy Oqsoqolマハッラ(タジク人、ユダヤ人が居住する)研、Ozodマハッラ(ジプシー、タジク人が居住する)、Obodマハッラ(トゥルクメン人とタジク人))である。質問票調査の他、聞き取り調査や参与観察による追検証も行った。 今回の調査では、新たな観点として、Bibi SeshanbeやBibi Mushkulkushodと呼ばれる女性限定の伝統的な集まりに着目した。社会的接触の中で、言語変化がどのように生じているのか、また、それらがアイデンティティー形成にどのような影響を与えるのか、そのプロセスやダイナミズムを具体的事例の中から検討するためである。現地調査では、Xuja・ZudmurodマハッラのBibi SeshanbeやBibi Mushkulkushodに実際に参加したうえで、行事を仕切る指導者や他の参加者達への聞き取りを重ねた。現在、調査結果のとりまとめ中であるが、このような現地に特徴的な慣習組織に着目し、そこでの女性達の言動や認識を社会言語学的な観点から分析するという研究は、中央アジア地域を対象とする研究としては類を見ない試みであり、ユニークな事実発見が期待できると考えている。 文献調査としては、タシュケントのIjtimoiy Fikr(Public Opinion Study Center)や国立統計センター等も訪問し、ウズベク語、タシク語、ロシア語等の研究書や調査資料等、ウズベキスタン国外において入手困難な資料を中心に、できるだけ多く収集するよう心がけた。 調査後は、調査結果のとりまとめや統計データの整理を進めた。本年度は、現地調査と膨大な資料の整理に時間をとられてしまったが、今後の研究活動では、学会発表や論文投稿の準備に重点をおきたい。
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