2007 Fiscal Year Annual Research Report
幕末維新期の日独外交史-近世後期の蘭学の内的動態及び知的ネットワークの連関から-
Project/Area Number |
07J08793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福岡 万里子 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幕末外交史 / 日独・日蘭関係史 / 駐日外交団 / 国際関係 / オイレンブルク使節団 / シーボルト / マルチ・アーカイヴァル・アプローチ |
Research Abstract |
本年度は、幕末の日独(日孛)関係とそれを取り巻いた国際関係に関する史料・文献収集を行うとともに、このテーマに関するこれまでの研究成果を、学会誌に研究論文として発表するための準備作業に従事した。 本年度の8〜9月は、欧州での史料調査を実施した。そのうち、8月はオランダ・ハーグの国立中央文書館において、幕末・第二回来日時のシーボルトに関係する一次史料を写真撮影により収集する一方、オランダ王立図書館において、日蘭関係史に関する基本文献を複写した。なお、文書館では、幕末日蘭交渉史研究の第一人者であるヘルマン・ムースハルト博士の知遇を得ることができ、以来、博士とは、幕末外交史に関する活発な議論を行うとともに、極めて有益な助言を頂いている。9月は、フランス・パリの海軍省歴史資料部、ドイツ・フライブルクの連邦文書館軍事文書館において、幕末維新期の国際関係と日独外交史に関する一次史料を閲覧・収集した。 帰国後、10月以降は、幕末のオイレンブルク使節団をめぐるこれまでの研究成果を、学会誌に研究論文として発表するための準備作業に従事している。プロイセンの特命全権公使オイレンブルクが携わった日孛修好通商条約交渉過程に関する論考と、この時期の江戸駐在外交団における多国間関係を、同交渉過程の末期に生じたヒュースケン殺害事件を素材として考察する論考との、二種類の論考をまとめる積もりである。これらはいずれも、プロイセン側・日本側-次史料を基本史料とし、同時に、オランダ側・フランス側を含む諸外国側の一次史料にも目を配る、マルチ・アーカイヴァルな手法に基づく研究である。こうした手法を通じ、日英・日米などの二国間関係史に基づく従来の先行研究の視野からは外れてきた、幕末外交史の諸側面を明らかにしたい。
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