2008 Fiscal Year Annual Research Report
病者の経験と実践に関する医療人類学的研究:糖尿病者を事例として
Project/Area Number |
07J08795
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱 雄亮 Keio University, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医療人類学 / 病いの語り / スティグマ / 糖尿病 / ピアカウンセリング |
Research Abstract |
1.発表(1)と刊行物(1):ピアサポート論 前年度からの調査に基づく発表を行い、成果を学会誌に寄稿した。そこでは東京都と患者団体NPOが行う「病気の子どもピアカウンセリング」事業にピアカウンセラーとして参加する母親からの語りと、都が発行する文書から当該事業の成立要件を検討した。相談者との関係においてピアカウンセラーの母親としての体験の共通性と個別性への認識を同時に満たすあり方を"アマチュアリズム"と名づけ、専門家や家族による支援とは異なる強みを論じ、ピアサポートの実践と研究の課題を整理した。 2.刊行物(2):患者会論 前年度末の学会発表の要旨を、当該学会の学会誌に発表した。 3.発表(2):モノ研究 前年度の学会発表(日本文化人類学会)を深化させ、シンポジウムで発表した。健康の自己管理を促す政策により医療器具を自分で用いる場面の先行例として糖尿病者が毎日数回使う自己注射器が本人と周りからどう見られるのか検討した。一般的な文脈では、注射は医療従事者が医療空間で行うものである。自己注射はそこから脱埋め込み化されており、そのため様々な解釈に対してオープンであるが、再埋め込み作業がスムーズにいかないときに問題化しやすいことを指摘した。 4.進行中の調査 「様々な解釈」の来歴を探究するため、聞き取り調査(共時的アプローチ)に加え、糖尿病や注射の物質的・イメージ的変遷について、文学作品や医薬品業界が発行する資料などを用いて跡づける調査(通時的アプローチ)を開始した。
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Research Products
(5 results)