2009 Fiscal Year Annual Research Report
病者の経験と実践に関する医療人類学的研究:糖尿病者を事例として
Project/Area Number |
07J08795
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱 雄亮 Keio University, 社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 医療人類学 / 病い / 当事者 / ピア・サポート / Auto-ethnogrphy |
Research Abstract |
1.研究の方向性 まず、病気をもつ当事者の周りの人(主に家族)の経験についての調査を行い、昨年度から取り組んでいるピア・サポート論とあわせて学会発表を行った。重なりとズレをもつ数多くの対人援助・相談活動(e.g.ピア・サポート、医療的カウンセリング、リフレクティング・プロセス)の相互の距離や関係を整理する必要があるという見解にたどり着いた。 次に、インタビュー調査のデータをもとにして、病いを軸にして成立する人と人のつながりを仮に「病縁」と名付け、概念として精緻化する作業を始めた。これは、人は病いをもつことで他の人とつながったり他の人を排除したりするが、そのつながり方や切れ方の特徴を、他の縁(e.g.地縁・血縁)と比較して理解することを目指すものである。これにより、同一の対象を扱っていながら遊離しがちな専門家支配論と病いの語り論を有機的に統合できる。 2.成果の発表と今後の方向性 これらの成果と、今後取り組む予定の、病気をもつ研究者自身を対象としたAuto-ethnography論を組み合わせて、総合的な議論に組み立てていきたい。 「病縁」論は本年度中には完結できなかったため今後も継続的に取り組む必要があるが、国立民族学博物館における共同研究にて発表と議論の場の提供を受けられることとなった。また、初めて外国において英語で発表・議論を行い、問題を共有することができた。加えて、政治学・法学といった、離れた分野のシンポジウムにて発表を行った。
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Research Products
(10 results)